今回はおうちでできるモンテッソーリ教育”おうちモンテ”「日常生活の練習」についてお伝えしますね。自信を付けさせるために「おうちモンテがいいらしい」と聞いても、どんな風にすればいいのかわからないのではないでしょうか?教材を作って棚に並べてみたけど、興味を持ってくれないということもあります。では、どうすればいいのでしょうか?これから紹介していきますね。
目次
おうちモンテの基本は「日常生活の練習」から
おうちモンテというと「まずは手作り教材を作って、棚にならべて・・・」というやり方もあります。
これは、日常生活の一つの作業を取り出して「日常生活の練習」の用具にしたものです。
園やお教室ではそのようになっていますが、お家では必ずしもそのようにしなけらばならないわけではありません。
日常生活そのもので練習すればいいのです。
自分のことが自分でできるようになることで、子どもは自信を持つことができます。
はじめはこんなことからやってみましょう!!
・顔を洗う
・洋服のお着替え
・食事と食事の準備/片付け
「えーっ!そんなことでいいの?」という言葉が聞こえてきそうですが、いいのです。そして、こういうことこそが大切なのです。
モンテッソーリ教育は自立に向けての教育なので、子どもが日常生活の一つ一つの行為を自分でやりながら自分の生活がスムーズにできるようになっていくことがとても大切です。
子どもへの関わり方、モンテッソーリ教育の子どもの見方を周囲の大人が共有する
だけど、とくに一人目のお子さんだと大人も手をかけてあげられるし、かわいいし、ごはんを食べさせてあげたり、着替えをさせてあげるのが普通になってないですか?
私はそうでした。
当時モンテッソーリ教育も知らなかったし、一人っ子だったので、2歳半か、3歳で幼稚園に入園する頃までか、いや、もしかすると入園してからも着替えなどはさせてあげていたかもしれません。
ですが、食事や衣服の着脱をはじめとした日常生活で行っていることを、大人がしてあげるのではなく、子どもが一人でできるようになっていくように手伝ってあげることが大事なことだったのです。
まずは、寝返りも打てない赤ちゃんが、お座りして、立って、歩けるようになるように、子どもは何でも一人で出来るようになりたいと願っている存在であるということを周囲の大人が理解して共有することです。子どもも同じ一人の人間として尊重しましょう。
そして、子どもがもう「じぶんで!」と言う時期を過ぎていて大人がやってあげるのが普通になっている場合は子どもにも「今まで何でもやってあげていたけれど、○○ちゃんは大きくなってきてこれから何でも自分で出来るようになっていくのだからお父さんやお母さんは○○ちゃんが一人で出来るようになるようにお手伝いするから○○ちゃんは自分でできるように頑張ろうね」とお話しましょう。
何もお話しせずに今まで大人がやってあげていたことを急に何でも「自分でやろうね」と言っても子どもはびっくりして嫌われたのかと思って余計に出来なくなるかもしれません。
そして、「自分でやろうね」と言って放っておくのではなく、ちゃんと目はかけてあげましょう。
本当に出来なくて困っている時はその部分だけ手伝ってあげましょう。
お子さんが「自分で!」と言い出す前であれば子どもの様子をよく見て子どもが自分でやろうとして動いている間は待ってあげてくださいね。
ここでついつい待てずにやってあげてしまうことが多いのですよね。
私もそうでした。
でもそこは、ガマン ガマン!!
自分の忍耐力も鍛えられます(笑)
これ、ほんとに大事なことなんです。
そして、徐々に大人が手をかけるところを減らしていきましょう。
そして、本当に出来なくて困っているところだけを手伝ってあげましょう。
『出来ないときは「手伝って」と言えばいいよ』と困ったときに伝える方法も教えてあげましょう(言葉が出る前なら手で合図するなど)。
困っていることの手順を分析して教えて(ゆっくりとやってみせたり短い言葉で説明します。見ると聞くはまだ一度に出来ないので言葉と動作は別に)あげましょう。
もし今、お子さんが「自分で!」と言い出した時期であれば、大人は『じゃあ困ったときは「手伝って」と言ってね』と言って見守り、本当に難しいところはさっと手伝ってあげればいいでしょう。
ですが、子どもってもうちょっとでできそうでもすぐに「出来ない」「手伝って」って言うことが結構あるんですよね。
そんな時は、ジェスチャーをつけて「ここをぎゅーっと引っ張ってみて」など簡単な言葉で教えてあげましょう。
それで自分で出来れば自信になりますね。
でもたいてい同じことを繰り返すのですが、だんだんと出来るのが普通になっていきます。
それから、途中は手伝っても最後は「自分でできた!」という気持ちで終われるように最後は自分でさせてあげましょう。
どの場合もこれから教えることはどんな手順でどんなふうに言葉をかけて教えるか、家族で統一しておくと子どもにとっては分かりやすいですね
そして、大人が手伝うよりたくさんの時間がかかることは計算に入れて予定を立てましょう。
ここまで周囲の大人の心構えと関わり方について見てきました。
もし、年の離れたお姉ちゃんやお兄ちゃんがいてお世話を焼いてくれる場合も同じように関わり方を教えてあげておきましょう。
そして、モンテッソーリ教育は自己選択を大切にし、主体的に行動していくことを大切にしているので、そのための環境の整え方を次にみていきましょう。
おうちモンテ「日常生活の練習」のための環境の整え方と導入のしかた
モンテッソーリ教育では周囲の大人の大きな役割が環境を整えることです。
どのように整えるかというと、子どもが自分で、自分ひとりでできるようにするのです。
・顔を洗う
顔を洗うなら、洗面台に届く踏み台・子どもの手でとったり掛けたりできるタオル掛け・子どもの手にちょうど良い大きさのタオルなどがあればよいでしょう。
そして、顔を洗うところを子どもによくわかるように大人がゆっくりとていねいにして見せてあげましょう。
次に子どもがする時は上手になろうと頑張っています。はじめのうちはよく失敗もしますが、顔を洗おうとしている間は手出し口出しせずに待ってあげましょう。
床が濡れたらぞうきんの置き場所と使い方をこれもゆっくりとして見せて教えてあげましょう。子どもサイズのぞうきんがあれば子どもは使いやすくて嬉しいですね。拭いた後の片付けまで教えましょう。
・お着替え
洋服は着替える場所の近くに子どもが自分で出し入れできる収納にTシャツ・ズボン・シャツ・パンツ・靴下など、子どもが取り出す時にわかりやすくして入れましょう。
そして、いつも2~3枚の中から選べるようにしてあげましょう。
これも自己選択です。
サイズやデザインはあまりぴっちりしていると着替えにくいです。
着替えやすいものにしてあげましょう。
生地も、適度に伸びやすいものが良いですよ。
前と後ろがわかるようにどちらかにしるしを付けてあげるのもいいですね。
さあ、着替えです。何でも分析してゆっくりとしてあげてくださいね。
もちろん、小さい赤ちゃんのうちは着替えさせてあげますが、お座りができるようになったら、下の例のように子どもが自分で着替える時の手順を意識して着替えさせてあげるといいでしょう。
だんだんと大人の動きに合わせて自分で身体を動かすようになります。
動きがしっかりとしてきたら、だんだんと大人が手を貸す部分を少なくしていきましょう。
例えばパジャマ(上)を脱ぐ時は
両手で裾をつかみ→少し持ち上げる→片方の手を離して内側に入れ、パジャマの脇の下を押さえて→裾をつかんでいた手を離す→肘を抜く→手を袖から抜く→抜いた手で反対のパジャマの脇の下を押さえて→肘を抜く→両手を裾から外に出して→パジャマの裾を持ち→上に上げて首を抜く
という感じです。
前開きのパジャマだとまた違ってきますね。
決まりはないので、それぞれのやりかたでいいと思いますが、何度も言いますが家族ではなるだけ統一してあげてくださいね。
ですが、「なるだけ」と言うのは、モンテッソーリの考え方、子どもの見方をよく説明して家族で共通理解してもらって、同じやり方で出来ると一番いいですが、なかなかそうはいかない時もありますよね。
ちゃんと説明したのに!!なんですぐにやってあげてるのっ!!
とか、
やりかたが違うよ!!
なんて場面が目に浮かびます。
そんな時、そのために家族が喧嘩するのは子どものためにもっと良くないです。
子どもが委縮してしまいます。
なので、「なるだけ」としました。
手順を簡単な絵に示しておけばわかりやすいかもしれません。
脱ぐ時や、着る時、頭を出すのは難しいことなので、出たら「バア!」と笑顔を見せてあげて、着替えの途中のお楽しみにしてあげましょう。
簡単にできそうなのにやる気がなくて「出来ない」と言うときは「○○ちゃんならもうすぐ出来るよ」と励ましてあげましょう。
例えばシャツを着る時、袖から手をなかなか出せない時など、肩のあたりを指して「ここをもうちょっと引っ張ってごらん」などと教えてあげて出来るまで待ちましょう。
脱いだパジャマのたたみかたや置く場所も教えてあげましょう。
・食事と食事の準備/片付け
食事の環境は子どもが自分で座れる椅子がよいでしょう。そして、食べる時は一人で食べたり、子どもだけ食べさせるのではなく、大人も一緒にお話ししながら楽しく食べる様子を見せてあげましょう。
準備・片付けにも子どもに参加してもらうために、キッチンの子どもが取りやすい場所に小さいワゴンなどを準備して子どもが運ぶ物はそこにのせるようにするとよいでしょう。
食事のとき
赤ちゃんでも食べ物を食べるときに自分で食べようとしたときは手づかみからスプーンで食べられるようにスプーンに食べ物をすくっておいてあげると自分で持って食べようとすることが出てきます。
でも、自分でスプーンを持って食べているとあまりお口に入っていないなんてことも。
そんな時は自分でスプーンは持たせてあげて、別のスプーンで合間にお口に入れてあげていいでしょう。
徐々に一人でスプーンで食べられるように時々スプーンの持ち方を大人がとなりでゆっくりとして見せてあげましょう。
食事の準備・片付け
一歳半頃になったら少しづつ食事の準備・片付けにも家族の一員として参加してもらいましょう。
まずは、自分の使うおしぼりとエプロンをいつもの場所から取ってくるのを教えてあげましょう。おしぼりは先に絞ってからワゴンに置いておきます。3歳頃になったら自分で絞ることも教えてあげましょう。
お料理は手早く済ませたいかもしれませんが、子どもはとっても大好きなお仕事で、手指もたくさん使うのでやらないともったいないと思います。
お料理のお手伝い、レタスやキノコをちぎるから始めて、ピーラーで野菜の皮をむく、サラダの野菜をまぜるなど徐々にできることを増やしていくと、後々ママやパパが楽になります。
食べ終わったら使ったおしぼりとエプロンを置いておく場所を決めて自分でそこに置きます。
自分の食べ終わった食器もワゴンまで運ぶとよいでしょう。
お皿を洗って片づけるのも、やりたがったらまずは洗った後の布巾でふくところなどから手伝ってもらいましょう。
お子さんのお仕事がちゃんとできていない場合でも、直接訂正はせず、またやって見せ、それでも気になったら、お子さんが見ていない時にやり直します。ちゃんと出来たかよりもやる気が大事です。
何でもできたことは「出来たね~!!」と喜ぶとお子さんも嬉しくてまたやりたくなりますよ。
ただし、拍手をしたり大げさに喜ぶことはありません。ほめ過ぎるとほめてもらうためにやるようになり、「自立した人になる」という本来の目的とは違ってきます。
以上のように子どもが小さいうちから自分のことを自分で出来て、家族の一員としてお料理のお手伝いなどを出来ることで、自己肯定感を高めることができます。
まとめ
1,おうちモンテの基本は「日常生活の練習」から。
道具などを準備しなくても、実際に日常生活で行っている、顔を洗う・着替え・食事と食事の準備と片づけなどを子どもが自分でできるようになるところからはじめる。
2,子どもへの関わり方、モンテッソーリ教育の子どもの見かたを周囲の大人が共有する
・子どもが自分でやろうとしている時は待つ
・本当に困っているところだけ手伝う
・最後のところは自分でさせて「自分で出来た」という気持ちで終われるようにする
・着替えなどの手順は出来るだけ統一する
・子どもは「自分で出来るようになろうとしている存在である」という見かたを共有する
・子どもも同じ一人の人間として尊重する
・そして大人は手を出したくなるのをガマンすることが大切
・子どもの前で喧嘩しない
3、おうちモンテ「日常生活の練習」のための環境の整え方と導入の仕方
・洗面台など大人サイズで子どもの手が届かない所は踏み台を準備する
・子どもの手には大きくて使いずらいものは小さい子どもの手に合うものを準備する
・着替えを入れる所を子どもにわかりやすく、自分で選んで取り出せるようにする
・キッチンには子どもが自分でそこの物を取ったり下げたお皿をのせたりできるワゴンを
置くなど工夫する。
・食事の時は大人も一緒に楽しく食べる
・着替えの仕方などいつも同じ手順で出来るように関わる大人が合わせておく
・まずは大人がゆっくりとやって見せる
・子どもが難しいときは出来ない部分だけ手伝う
・もう少しで出来そうなときは励ます
・最後のところは自分でさせてあげて「自分でできた!」という気持ちで終われる
ようにする
・スプーンで食べ始める頃は、食べ物をスプーンにすくって自分で持てるようにして置いておく
・1歳頃から食事の準備・片付けにも少しづずつ参加してもらう
・お料理の手伝いはレタスやキノコなどを手でちぎるところから
・うまくできなくても直接訂正はしない(やるきを無くさない方が大切)
・できたことは「できたね~!」と喜ぶ(ただし、大げさにほめない)
次回は大きめのお子さんのお話しになりますが、「文化教育」宇宙の教育のお話しをしますね。
お教室では数や言葉・宇宙などに興味を持った時に楽しく学べる教具もあります。幼児が無理なく学べるように具体物でまず学び、段階を経て数字や文字へ移っていきます。この学び方が楽しくて!ぜひたくさんの方に体験してもらいたいと思います。ではまた!!